オペラ・オペレッタ訳詞家の書斎

「オペラを日本語でわかりたい」三浦真弓の公開データベース

【録音】カールマン《伯爵令嬢マリツァ》:ワーズワース指揮:あらすじ(英語)

事の起こりは1920年代、バルカン半島のとある広大な農園領地。そこは華やかなる伯爵令嬢マリッツァの所領の一つだったが、彼女はもう何年もこの地に寄りつきもしなかった。彼女には、国際色にあふれた、めまぐるしい上流社会の方が好みなのだ。その領地に、最近、新しい農場管理人が任命された。

第1幕

ジプシーの少女マーニャは、新任の管理人が、かつては高貴な暮らしに慣れていた人物だと感づいている。(幸福は黄金の夢)

その彼が、村の子供達の一群とともに登場する。子供達は、管理人の親切な仕事ぶりに感謝を伝えようと、特別な歌と踊りを習ってきたのだ。(ごきげんいかが?)

旧友を名乗る人物が訪ねてきたことで、その管理人が実は、近年ブダペストやウィーンでもてはやされているタシロ・エンドロディ=ヴィッテンブルク伯爵だということがわかる。父の死後、伯爵家は負債を抱えて行き詰まり、タシロは全財産を売り払わなくてはならなくなった。彼は、妹のリーザに持参金と明るい将来の希望を与えるために、使用人の仕事に就いたのだ。友には、時おりホームシックに襲われることがあると告白するタシロだったが(わがウィーン)、少なくともリーザには一家の没落を知らせないで済んでいた。

タシロの平穏な生活は、マリッツァとその友達の一団の登場によって破られる。彼女たちは、マリッツァの婚約を祝って、この地で一夜を過ごすためにやってきたのだ。(ジプシーに演奏させて)

タシロは、マリッツァの取巻きの中にリーザがいると聞いてショックを受ける。彼はリーザに、この仕事はちょっとした無分別な賭けの一部であり、彼の正体を明かしてはならないと納得させ、二人は幼い頃を回想する。(子供時代の思い出)

マリッツァの婚約は、嬉しくもない求婚者たちの希望をくじくための嘘で、マリッツァの幻の婚約者の名前は、シュトラウスの《ジプシー男爵》の登場人物の一人から取られたものだった。しかし同じ名前のコロマン・ジュパン男爵という人物が登場し、マリッツァを彼の故郷ヴァラシュディンに連れ帰ろうとしたことで、事態は複雑になってくる。(ヴァラシュディンへ行こう)

客達が邸内で浮かれ騒いでいるとき、タシロはテラスに腰かけ、ジプシーのヴァイオリン弾きを傍らに、皮肉な自己憐憫の気分を吐き出す。(弾けジプシー)

マリッツァと客達が街に戻ろうとしたとき、マーニャがマリッツァの手相を占わせてくれと頼み、マリッツァは4週間のうちに立派で高貴な男性に心奪われるだろうと予言する。独り身の自由を失いたくないマリッツァは、客達だけを出発させる。彼女はこの地に一人残ろうとしたのだ、ジプシーが予言したような人物が誰もいないはずの場所に・・・

第2幕

4週間が経ち、マリッツァの客達が再び集合する。ジュパンは、マリッツァとの婚約は失策だったと悟る——彼はリーザと相思相愛の仲なのだ。(夢が始まるとき)

マリッツァの初老の求婚者ポポレスク公は、4週間の出入り制限後の再会を祝う余興でマリッツァを驚かせるが(コルクの栓を抜こう)、この間にマリッツァは、上流社会の友人達のきらびやかさよりも、管理人の実直さに惹かれる自分に気づいていた。「もし私がただの村娘だったら」と彼女はタシロに尋ねる、「あなたは私に何と言ってくださる?」(愛しい人、僕のものになって)

しかし、ポポレスクがマリッツァのロマンティックな夢を打ち砕く。管理人がリーザと手を取り合っている姿が目撃され、彼が出しっ放しにしていた手紙は、秘密をもらしてしまったらしい——タシロは貧窮した一貴族であり、他の男達と同じくマリッツァの金が目当てだったという秘密を。

第2幕フィナーレで、マリッツァは客達の前でタシロは詐欺師だと暴き、侮辱的にも、ひとつかみの小切手で彼との関係を清算する。同じく侮辱的に、タシロはその小切手を集まった人々の足元に投げつける。リーザが駆けつけると、タシロは無念そうに「子供時代の思い出」の一節を歌い、マリッツァは、タシロとリーザが実の兄妹だったことを知るのだった。こうしてタシロの愛を確信したマリッツァだが、どうしたら彼にたいする不当な仕打ちを償うことができるだろうか?

第3幕

ジュパンとポポレスクは、お祭り騒ぎの夜のあと、マリッツァに農作業の分担に駆り出される。三人は、その日の仕事が終わった後、村の酒屋にくりだす夜を楽しみにしている。(平原生まれの栗色娘)

でもそれはマリッツァが抱えている問題の解決にはならない。タシロが永遠に立ち去ってしまう前に、どうやって彼に和解の手を差し出すか、しかも彼女自身も大きく譲歩することなしにという問題だ。幸い、この物語には、タシロの奇矯な伯母と、芝居っ気のあるその召使いーー二人とも語り役で、この録音には含まれていない——の到着という予期せぬ展開がもたらされる。彼女たちの策略の結果、どの人々の関係においても、真の愛が勝利をおさめるのだった。(第3幕フィナーレ:ワルツ:我らの悩みは消えた)